或る記憶|海辺にて


  • ひかっているからやさしくできない
  • ぼくの問いはいつでもたったひとつ
  • 過ぎた季節に名前など与えるものか
  • あなたはせつない貌を覚えたての獣
  • さようならネオンが月を染めるころ
  • 神様がぜんぶわるくて君はいらない
  • おわりにひとつだけ足りないいろは
  • 永遠はきみにはきっとやさしい爪痕
  • くらやみのヴェールを透かす朝焼け
  • 波打ち際にひとつ詩篇が落ちてゐた
  • 萼も葉も茎も棘さへうつくしく在る
  • いつかのばらをあなたへささげよう
  • 宵醒めた恋人たちはあかつきに眠る
  • 瑠璃も玻璃もいまだ等しく胎のなか
  • もうすこし、檸檬水の氷が融けたら
  • オラクルの光波もみな火に呑まれた
  • わたしたち宇宙の傷からうまれたの
  • 燐光から零れおちたおまえの眼差し
  • ナイフより馴染んだ手口で編む神話
  • 紅差し指でなぞるだけのゆるしかた
  • 摘果されたまどろみにたゆたう壊死
  • 耳鳴りのように澄みたいのだ潮騒は
  • なにもかもなくせずに傘なくすひと
  • 俯けばきらきらと海、きみのエッジ
  • つづきのないページの途中でぼくら
  • くゆる縷々・逝く/まぼろしの群れ
  • シナプスは永劫回帰を夢に視てゐる